冷凍冷蔵が軽貨物の未来を変える  不安定な日々から抜け出す選択肢とは 

「軽貨物を始めたものの、仕事が不安定で将来が見えない」「単価が低くてモチベーションが上がらない」——そんな声を現場でよく耳にします。私自身、かつて同じ悩みを抱えていました。頑張っても結果に結びつかない。やりがいはあっても、生活の安定にはつながらない。そんなジレンマを抱えたまま、走り続ける日々。そこで私が見つけた突破口が「冷凍冷蔵」という選択でした。

今回は、私70TRANSPORTの経験を通して、「なぜ冷凍冷蔵を選んだのか」「何が変わったのか」を具体的にお伝えします。軽貨物で現状に不満を抱えている方にとって、一つのヒントになれば幸いです。

軽貨物の現実：競争と不安定な受注
軽貨物業界は参入のハードルが低く、働き方の自由度も高いため、人気のある職種です。しかしその一方で、競争が激しく、価格競争に巻き込まれやすいのも事実です。特にネット通販の拡大によって、宅配需要は増えましたが、その分「誰でもできる」仕事として扱われ、単価が抑えられがちです。

私が始めた当初も、1件数百円の宅配業務が中心で、長時間働いても収入が頭打ちになっていました。さらに、案件ごとに発生するキャンセルや不規則なスケジュールにも振り回され、先が見えない不安を常に感じていました。

冷凍冷蔵の需要は右肩上がり
そんなときに注目したのが、「冷凍冷蔵の配送」という分野でした。最初は敷居が高そうに感じましたが、調べていくうちに、むしろチャンスが広がっていることがわかってきたのです。

たとえば、コロナ禍をきっかけに自宅での食事需要が高まり、飲食店のデリバリーやネットスーパーの利用者が急増。今では全国各地で、冷凍冷蔵食品の個人配送や、飲食店の食材配送が日常的に行われています。また、最近ではEC経由でのスイーツや高級食品の個人販売が増えており、品質を保つための温度管理が欠かせません。

こうした背景から、冷凍冷蔵配送に対応できるドライバーへのニーズは確実に増しています。つまり、今のうちにその分野へシフトしておくことが、中長期的に安定した収入を得る鍵となるのです。

実例：冷凍冷蔵に切り替えてからの変化
私が実際に冷凍冷蔵車両を導入したのは、独立して3年目のタイミングでした。最初の案件は、市場からの鮮魚の配達で「鮮魚を都内、埼玉県内の飲食店、居酒屋への定期配送してほしい」というものでした。納品時間は毎週決まっていて、しかも品質管理に対する要求が高く、一般の軽貨物ドライバーでは対応が難しかったようです。

そこで、冷蔵車両を導入して対応した結果、工房から高く評価され、以降も定期契約を継続いただけるようになりました。現在では、他の飲食業者との契約も広がり、月の約7割を冷凍冷蔵案件で埋められるようになっています。

数字としては、一般宅配時代と比べて月収は約1.4倍〜２倍と変動しつつも。スケジュールが安定しているので、無理な働き方をせずに生活の質も向上しました。

差別化と信頼の積み重ね
冷凍冷蔵車を持つこと自体が、周囲との差別化につながります。「温度管理できる軽貨物車両」は、実はまだ少数派であり、需要に対して供給が追いついていません。そのため、しっかりした対応ができれば、紹介やリピートも自然と増えていきます。

また、冷凍冷蔵案件は「品質＝信頼」であることが多く、一度信頼されると長期契約につながりやすいという特徴があります。日々の業務を真面目にこなすことで、「あなただから任せたい」と言われる関係が築けるのです。

導入へのハードルと、その越え方
「冷凍冷蔵を始めたいけれど、費用が心配」「何から準備すればいいかわからない」という声もよく聞きます。確かに、冷凍冷蔵車両の購入・改装には初期費用がかかりますが、今は中古市場やリースサービスも充実しています。

たとえば私が使っているのは、軽トラックの荷台に後付け可能な冷凍ユニットを搭載した中古車。導入費用は約90万円程度でしたが、1年で十分に元が取れました。また、冷凍冷蔵案件に特化したマッチングサービスを活用すれば、営業活動の負担も軽減されます。

そして、配送中の温度記録や衛生管理など、基本的なマナーとルールを守ることで、信頼を積み重ねられます。難しく見えても、地道に取り組めば着実に前に進むことができるのです。

最後に：軽貨物に不満を抱える方へ
今、軽貨物ドライバーとして仕事に不満を感じている方。現状を打破したい、もっと収入を安定させたい、やりがいのある仕事をしたいと思っているなら、冷凍冷蔵という選択肢を真剣に検討してみてください。

これは、特別な才能がなくても始められる“実用的な差別化”です。自分だけの強みを築く第一歩になるかもしれません。

私自身、冷凍冷蔵に舵を切ったことで、仕事の質も生活の安定も手に入れられました。同じ悩みを持つ方にとって、少しでも希望を感じられる内容であれば嬉しく思います。