追い越しと追い抜きの法的定義
道路交通法第2条で定義される「追い越し」と「追い抜き」について整理しましょう。
追い越しとは?
追い越しとは、走行中の車両が前方の車両を抜くために一旦進路を変え、前方の車両を抜いた後に元の車線に戻る行為を指します。
法律では、原則として右側からの追い越しのみ許されています。これは、右側追い越しが道路の基本的な交通流に沿っており、安全を守るためです(道路交通法第28条)。
追い抜きとは?
一方、「追い抜き」とは、同一車線内で前方の車両を進路変更せずに抜く行為です。バイクにとって特に問題になりやすいのが、この同一車線内での左側追い抜きです。
違反となるケースと罰則
道路交通法第28条では、車両が左側からの追い越しを禁止しています。これを違反すると、次のような罰則が適用されます。
違反点数:2点
反則金:二輪車で約6000円
実際の違反事例と判例
以下に、具体的な違反事例と判例を示します。
事例①:高速道路上での左側追い越し事故
2021年、高速道路上で二輪車が左側追い越しを行った際、前方のトラックが突然左寄りに車線変更し接触事故となりました。裁判では二輪車側が道路交通法違反(左側追い越し)の責任を問われ、損害賠償責任を負いました(東京地方裁判所令和3年判決)。
事例②:一般道路での左側追い抜き
都市部の一般道路でバイクが渋滞中の車両の左側を追い抜き、路上駐車の車両に接触して転倒する事故が発生しました。警察の調査では、追い抜きを行ったバイク側が、安全確認を怠ったことによる道路交通法違反として処理されました(警視庁2022年発表事例)。
追い抜きが許される例外条件
しかし、左側の追い抜きがすべて禁止されているわけではありません。道路交通法第28条第2項によると、次の場合は例外的に認められています。
前方の車両が右折待ちや右側車線で停止中の場合
追い抜き行為がやむを得ないと判断される状況下
ただし、例外的に認められる場合でも、十分な安全確認が義務付けられています。
安全運転のための具体的なポイント
安全に運転するために以下のポイントを守りましょう。
原則右側追い越しを遵守。
左側追い抜きをする場合は速度を落とし、周囲をよく確認。
歩行者や自転車の飛び出しを常に想定。
判例から学ぶ安全意識の重要性
過去の判例から見ても、道路交通法違反として処罰されるケースの多くが、運転者の「安全確認不足」や「法律への理解不足」に起因しています。特に、バイク運転者は事故のリスクが高いため、法律の理解だけでなく常に慎重な運転を心がけることが求められます。
まとめ
追い越しと追い抜きの違いを理解し、道路交通法を守ることは、自分自身の安全を守ることにつながります。特にバイク運転者は法律の細かい部分まで理解し、常に安全第一の運転を心掛けましょう。